モンハンワイルズ炎上の真相とは?SNS時代におけるゲーム評価の変化

「なぜモンハンワイルズは炎上したのか?」 かつては1000万本超えの大ヒット作として注目を集めた『モンスターハンター:ワイルズ』。しかし、現在ではSteamレビューで88%が不評という事態に。

YouTubeでは連日批判動画がアップされ、「ネットのおもちゃ」と揶揄されるまでに落ち込んでしまいました。

本記事では、評価が急落した背景をユーザー目線と企業目線の両方から深掘りしていきます。

目次

ゲームシステムへの不満が爆発した理由

過剰なカジュアル化とやり込み要素の欠如

『モンハンワイルズ』では、かつてのシリーズで好評だったやり込み型のプレイ体験が大幅に削減されており、コアファンの期待を大きく裏切る結果となりました。

まず、装備や武器に関する要素が簡略化され、素材収集や装飾品の構成がどの武器でも似たような構成に収束する仕様になっています。さらに、環境生物の収集に関する実績や、サイズ記録といった自己満足型のコンテンツすら削除されてしまいました。

  • 金貨集めがフレンド間で共有できる
  • レア素材が確定でドロップするクエストを簡単に選べる
  • 実績・称号などの自己目標がなく、長期的な達成感がない

これにより、従来の「苦労して装備を整え、強敵に挑む」というシリーズの醍醐味が大きく損なわれたと感じるユーザーが続出。エンドコンテンツとしての深みもなく、“遊び尽くした感”が得られにくいとの評価が多数寄せられています。

また、ストーリーにおいても、会話中に自由移動できる構成やムービーの頻度が高くなったことで、フレンドと並行して進めることが困難になり、ソーシャル性の低下も批判の一因となっています。

想定プレイスタイルとプレイヤーのギャップ

『モンハンワイルズ』は「偶然の出会いによるドラマ」を演出しようとした結果、プレイヤーの自然なプレイフローと大きく乖離してしまいました。

例えば、ストーリー中に遭遇するはずのないモンスターが出現することもなく、たとえ遭遇しても報酬的なうま味が皆無。また、フィールドで戦闘を始めてもクエストとして認識されず素材も満足に得られないといったケースも頻出しました。

  • クエスト形式がないと満足な報酬が得られない
  • 任意のモンスターとの戦闘が実質的に無意味
  • モンスターとの遭遇にロールプレイ要素が活きていない

このように、開発者が理想とする体験とユーザーが実際に得られる体験との間にズレが生じ、プレイヤーは”たこシあ”と皮肉を込めてこの状況を揶揄するようになりました。

結果的に、従来型のモンハンファンは置いてきぼりにされ、新規層もハマりきれない設計となり、あらゆる層に中途半端な体験を与えるに留まったのです。

たこシあの由来と背景

とえばんなチュエーションがりうる、と徳田氏は説明する。装備を作るための材料を求めて、隔ての砂原セクレトに乗って疾走していると、砂塵の向こうにふと、目標としてはいない大型モンスターの姿がよぎる。

すでにほかのモンスターと交戦でもしたのだろうか、体にいくつか傷を負っている。

そのモンスターの素材が今すぐ必要というわけではないが、報酬は非常に大きい。

一瞬の逡巡ののち、踵を返して先ほどの傷だらけのモンスターを追う。

ハンターに必要なものは、臨機応変な判断力だ。

「ワイルズ」には、そんな体験が可能な世界が用意されているのだ。

(『世界中のユーザーにモンハンが届いたのは、モンハンのおもしろさを信じ続けたから 『モンスターハンターワイルズ』開発者インタビュー』より)

アップデートの方向性とユーザーとの乖離

アップデートは本来、プレイヤーの不満を解消し、長期的なプレイモチベーションを支えるためのものです。しかし『モンハンワイルズ』においては、その目的とユーザーの要望とのズレが深刻化していました。

開発陣は斬新な試みを多く取り入れ、オープンワールド化や新たな戦闘フローの導入など、従来シリーズとの差別化を図ろうとしました。しかし、こうしたアップデートは既存のモンハンファンにとって「余計な方向転換」に映り、逆効果となった面が否めません。

  • アップデートの頻度が低く、小規模な調整にとどまっていた
  • 追加コンテンツよりもナーフが目立ち、プレイヤーのやる気を削いだ
  • フェンダーコラボなど、本編とは無関係な企画に注力し、「本当に必要なのはそこじゃない」との声が多数

特に問題視されたのは、「ユーザーが楽しんでいた要素」への締め付けです。黄金魚や発金魚といった稼ぎ手段を潰した一方で、新たな代替案や遊びの広がりを提示できなかったことにより、アップデートが苦痛を増やすだけの存在になってしまいました。

さらに、武器調整についても「ナーフ一辺倒」と言われるほどマイナス修正が多く、戦略の幅を広げるどころか楽しさを削ぎ落とす結果に。こうした方針は「長期的なゲーム寿命を意識しての調整」と説明されつつも、プレイヤーの期待をことごとく裏切る形になったのです。

加えて、最適化不足によるPCクラッシュ問題が長期的に放置されていたことも重なり、アップデート内容とユーザー体験の乖離は決定的なものに。結果として、

  • “修正されるのを待とう”という忍耐が限界を迎えた
  • カプコンへの信頼感が徐々に薄れていった
  • SNSや配信者を通じて不満の声が一気に拡散した

という負のスパイラルに陥りました。

「アップデート=改善」ではなく、「アップデート=期待外れ」という印象が定着してしまったのが、今回の評価急落の大きな要因のひとつです。

意欲的な新要素 vs. 実装不足の現実

開発陣はオープンワールドやシームレスな探索型ゲームプレイという新境地に挑戦しました。しかし、

  • 初期実装が未完成で調整不足
  • ストーリーは単調かつ冗長
  • グラフィック向上の恩恵がクラッシュで打ち消される

という状態により、挑戦が裏目に出た形となりました。

ユーザーを冷めさせたアップデート方針

  • 稼ぎ手段(黄金魚など)へのナーフ
  • 武器調整がナーフ寄りでプレイの楽しみを阻害
  • フェンダーとのコラボにリソース投入

「そこじゃない」感が強い施策が続いた結果、ユーザー離れが加速しました。

SNS時代の炎上と評価の変化

かつてはゲームの評価といえば、専門メディアやプレイヤーコミュニティのレビューが中心でした。しかし現代では、SNSが世論形成の主戦場となっています。『モンハンワイルズ』が炎上した背景にも、このSNS特有の「拡散力」と「感情の増幅構造」が深く関係しています。

インプレッション経済と世論のねじれ

SNSでは、ユーザーの反応(いいね、リポスト、コメント)を稼ぐことで表示回数が増えるインプレッション経済が支配的です。そのため、強い感情を呼び起こす投稿、特に「怒り」や「嘲笑」は優先的に拡散されがちです。

  • 炎上系の批判動画がアルゴリズムにより優遇され、バズりやすい
  • 賛否両論であっても「否」が可視化されやすく、極端な評価に偏りがち
  • 一度否定的な流れができると、それに便乗する投稿が急増する

これにより、ゲームに対する冷静な意見が埋もれやすくなり、「炎上している=ダメな作品」という短絡的なイメージが一人歩きしてしまうのです。

自己肯定感と対立構造の罠

SNS上では、自分が好きなものが叩かれると「自分のセンスが否定された」と感じて防衛反応が発動します。逆に、つまらないと思ったものが絶賛されると「自分が少数派なのでは」と不安を覚える。

  • 自己肯定感が揺らぐと、攻撃的になるユーザーが増える
  • 賛成派と否定派の対立が過熱し、「空気」で沈黙を強いられる人も出てくる
  • 発言者の人格や立場にまで批判が及び、議論が本質から逸れる

その結果、レビューが本来持つべき「多様な視点の共有」という価値が失われ、単なる感情のぶつかり合いに終始するケースも増えています。

SNSアルゴリズムによる“分断の演出”

SNSプラットフォームは、利用者の滞在時間を最大化するために、感情を刺激する投稿を表示するよう最適化されています。これは、

  • 怒りや不満に共感する投稿を優先的に表示
  • 自分と異なる意見を目にする機会が減り、フィルターバブルが強化
  • “敵”と認定された相手に対し、攻撃的な言説がエスカレート

という形で、知らず知らずのうちにユーザー同士の分断を助長します。

つまり『モンハンワイルズ』の炎上は、ゲーム自体の出来不出来以上に、SNSが作り出す空気や構造的な偏向が大きく関与していたといえます。

結論:モンハンワイルズの評価は「試みの失敗」か?

モンハンワイルズの炎上は、新たな挑戦が実を結ばなかった典型例といえます。しかし、

  • 1000万本という商業的成功
  • IPに対する期待値の高さ
  • 開発陣の革新精神

といった要素を加味すれば、完全な失敗とは言い切れません

本作が投げかけた課題は、次作への重要な教訓となるでしょう。大切なのは、評価の多様性を認め合う文化を育てること。SNS時代に求められるのは、「好き嫌い」ではなく「多様性への寛容さ」です。

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