「Apex Legends、またバランス崩壊か?」 そんな声がSNS上で囁かれる中、実はその裏にはRespawnの新たな哲学がありました。
2023年以降、プレイヤー数の減少に悩まされていたApex。しかし2025年、シーズン25を迎えた今、Steamの同時接続数は右肩上がり。なぜ再び注目されているのか?その鍵は「すべてのレジェンドを強くする」という前代未聞のバランス調整方針にあります。
単なるナーフやメタの偏り修正ではなく、すべてのキャラクターが“主役”になれるよう設計を見直した開発陣の挑戦。それにより、これまで見向きもされなかったキャラクターに光が当たり、ゲームプレイの幅が大きく広がっています。
本記事ではその意図、キャラクター設計の裏側、具体的な改善例、そして復帰・新規プレイヤーにとっての魅力を丁寧に解説していきます。
全員強化という新たなバランス調整の哲学

Apex Legendsのゲームデザイナー、ジョン・エレントン氏は「誰もが壊れていれば、誰も壊れていない」と語ります。つまり、極端な弱体化やナーフではなく、すべてのキャラを強くすることでバランスを取るという考え方です。
この方針は、従来のApexでは考えられなかった大転換と言えます。以前は、強すぎるキャラを弱体化することで調整していましたが、現在は逆に他キャラを底上げすることで自然なバランスを実現しようとしています。
実際、従来人気の高かったレイス・オクタン・ホライゾンといった機動力系キャラに頼らずとも、他キャラにも十分な魅力を持たせるリワークが進行中です。バリスティックやアッシュといった不人気キャラのピック率上昇は、その成功を物語っています。
このアプローチは、プレイヤーのキャラ選択の幅を広げ、戦略的な多様性を生み出します。今後さらに多くのキャラクターが再評価され、メタの固定化を回避できる可能性も高まっています。
スパローという象徴的な存在
シーズン25で登場した新レジェンド「スパロー」は、この哲学を象徴する存在です。高性能スキャン、ダブルジャンプ、敵を閉じ込めるアルティメットといったスキルを持ちながらも、完全なウォールハックとは異なる“対策可能な強さ”が設計されています。
スキャンアローは敵の正確な位置を表示せず、頭上にマーカーを表示するだけに留まります。これにより、一方的な戦闘を防ぎ、プレイヤー同士の駆け引きを重視する設計になっています。
このようなバランス配慮は、Apexが抱えていた“スキャンメタ”の弊害に対する明確な対策であり、スキルの使いどころや判断力が勝敗を分ける本来のゲーム性を取り戻しています。
機動力のバランスはなぜ重要か?
Ashのように機動力の高いキャラは魅力的ですが、全キャラにそれを付与してしまうと新規プレイヤーが対応できず、結果として離脱率が上がってしまいます。
Apexの戦闘はスピーディーであるがゆえに、熟練者が圧倒的に有利になる傾向があります。そこでRespawnは「動きすぎないが楽しい」バランスを目指し、新キャラでも機動力は限定的に設計。特定のシチュエーションでこそ真価を発揮するよう調整されています。
さらに、各レジェンドの得意分野を明確にすることで、チーム構成の戦略性も向上。どのキャラも一長一短があり、状況に応じて選ぶ楽しさが増しています。
プレイヤー数の回復と今後の見通し
2025年4月時点で、Steamにおける同時接続プレイヤー数は約11万人、ピーク時には19万人を記録しました。2023年の低迷期と比べると、着実な回復基調にあります。
その背景には、単なる新キャラ追加にとどまらない、ゲームの“哲学的刷新”があります。すべてのプレイヤーに光を当てるという姿勢は、従来とは一線を画す方向性です。
また、開発陣はキャラごとのピック率を綿密に観察し、タイミングを見て強化・調整を実施。これにより、シーズンごとに異なる戦術やメタが形成され、プレイヤーのモチベーション維持にもつながっています。
今後は既存キャラクターの再設計(リワーク)も継続される見通しで、ゲーム全体の戦略性と楽しさがさらに向上することが期待されます。
結論:すべてのレジェンドが主役になれるApexへ

Apex Legendsは、「ナーフによる調整」という常識を覆し、「全員を強くする」という新たな調整方針を打ち出しました。この挑戦は、単なるゲームバランスの見直しではなく、プレイヤー一人ひとりを主役にするという強いメッセージでもあります。
スパローのような新キャラクターの登場、既存キャラのリワーク、そしてプレイスタイルの多様化。こうした動きは、Apexが再びeスポーツシーンやカジュアル層から支持されるきっかけになるかもしれません。
これからのApex Legendsが、どこまで進化していくのか。今後も目が離せない存在となることは間違いありません。